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“龍馬を殺さないで!”との一部視聴者のムチャな声もあったと聞くが(笑)、2010年11月28日、福山龍馬暗殺の最終回はオン・エアされ、NHK「龍馬伝」は完結した。僭越ながら、個人的には、歴史上の偉人の一生や時代小説の類のジャンルは好きではない。説教臭いし、いかにもPHP的処世術を良しとするムードを感じるからだ。NHKの大河ドラマも、そのいかにもオーソドックスで保守的な演出も手伝って、これまできちんと見た事もなく、だから今シリーズも興味薄だったのだが、家内につられて、ちらちらと画面を追う内に、その魅力にすっかりハマってしまった。では、自分にとって、このドラマの魅力とは何だったのか。それは、とにかく、その“熱さ”に心揺さぶられたからに他ならない。政治的閉塞感、不正、異国への脅威と異文化への憧憬、現状打破と尊王攘夷、策謀と革命の血潮がうねりを上げて濁流となった時代背景。喧騒にして混沌とした幕末の激動期、そのダイナミックな題材に呼応するかの如し、今ドラマも、映画的なダイナミズムがほとばしっている。その中で、考えは違っても、大志を以て、故郷を離れ、疾走し、心骨を注いだ下級武士たち。志半ばで挫け潰えてしまった者たちの無念さと想いが心に響くのだ。大河らしからぬ、斬新で凝ったカメラアングルとライティング、殺気立った俳優陣の熱演、そして、佐藤直己による映画音楽を過分に意識したかのような壮大かつ抒情的な素晴らしい楽曲の数々。実に見応え、聴き応えがあった。今作は飽くまでも龍馬が主軸、歴史上有名な史実にことごとく絡んでくる展開に、史実と違うとの意見をよく聞く。時代考証がなってないとか、他の登場人物たちを矮小、歪曲化しているとか、批判も多い。でも、良いじゃないですか。ヒーロー不在の現代、龍馬的生き方、行動力、思考は、そのキャラクター像を含め、極めて魅力的だったし、感動、共感も得られたのだから。作り手たちも、批判覚悟で、確信的に、独自の歴史解釈をしたと思う。脚本の福田靖は、普段はフジTVをメイン・フィールドで活躍するヒット・メーカーだし、極論すれば、今作も、社会派エンタメ路線として楽しんでもいいんじゃないか。福山龍馬は男気と優しさが横溢していて、真っ事、粋でしたね。香川弥太郎が、愛憎半ばで悶々とする気持ち、痛いほどよく分かります(笑)。